TANNNOY ランカスター/HPD315 のメンテナンス完了。
2013年 07月 07日
このスピーカーは、高音が歪むと言う事でお預かりしたのですが、
例によってエッジがボロボロ。
全面的なメンテナンス作業になってしまいました。
■磁気回路のチェック、ツイーターの調整、ウーファーのメンテナンス、
一通りの作業が完了しました。
僕はこちらの修理が専門、元々メーカーのサービスマンだったのでお手の物です。
このTANNOYのHPD315と言うユニット、
とかくGOLDに対し格下として扱われていますが、
どっこい、なかなか良い音のするユニットなんです。
ただ、巷に有るユニットはほとんど調整がずれています。
本当は、丁寧に調整すると良い音のするユニットなのですが
皆さんそこまでの思い入れが無いのですね。
たいていの方が最後までのメンテナンスについてきてくれません。
後ろにチラッと見えるのは、モニターGOLDの15インチです。
このユニットもメンテナンスでお預かりしているものです。
なんだか最近この様な仕事が増えてきています。
そういう時期なのでしょうね。
■まず左のユニットを装着。
ご多分に漏れず、ネットワークにも少し不都合が有りました。
元々ツイーターからの歪みでお預かりしたのに、どんどんと仕事が増えて行きます。
ここで逐一お客様にご報告しないと、修理代金で後からトラブルになります。
■右のスピーカーも取り付けました。
やっぱりネットワークもダメでした。
■ネットを取付けて完了です。
TANNOYのバッジが破損していたので、バッジまで修理させて頂きました・・・、やれやれ。
早速音出しをしてみました。
最初はスピーカーが寝ています。眠たそうな音が出ていました。
約2時間ぐらい鳴らしたところで、ようやく目覚めてきたようです。
良い音が出てきました。
ははーん、このお客様はあまり聴いていなかったな?
と言うか、ここしばらく音を出していなかった様です。
長い間この様な仕事をしていると、製品を通して色々な事が見えてきます。
しかし、この当時のスピーカーも、なかなか良いですね。
最近のクリアーな音の製品も良いですが、この渋い鳴り方も捨てがたい。
50年代から70年代ぐらいまでの録音を聴くのであれば、
このスピーカーも捨てたものではない。
高音質、高性能だけが良い音ではないです。
どういう音楽を、どの様な音で聴くか、自ずと答えが出てくるものなのですが、
いまいち自分の耳に自信が無い人が多い様で、人の意見に左右されやすい。
日本人の一番いけないところかもしれませんね。