WELL TEMPERD LAB Versalex 試聴機を聴きました。
2013年 12月 07日
アナログプレイヤー システム/Versalex の試聴機を持ってきてくれました。

■バルチック プライウッド・ベースの、極めてオーソドックスな外観を持つ『Versalex』。
ウエルテンパードのプレイヤーは、かなり昔から有る製品なのですが、
今回の様な木質ベースの製品は、これが初めての様な気がします。

■糸(ポリエステルストリング)を掛けかえて33/45回転を切り替えると言う、
極めてシンプルな方法の、2スピードアナログプレイヤーです。
ターンテーブルは思ったより軽量で、糸のテンションで自立していると言う、
非常にユニークなスピンドル ベアリング構造です。
理論上、スピンドルのガタはゼロになります。

■トーンアームは、モノ フィラメントで吊り下げているだけで、ベアリングが有りません。
アーム基部の下部がボール状になっていて、
高粘度シリコンオイルの入ったオイルカップに浸されている、と言う構造になっています。
トーンアームは、レコードに刻まれている楽音で振動しますので、
機械的なガタが有ると、部分的にひずみっぽい音を発生する時が有ります。
しかしこの構造なら機械的なガタは無いので、
アームが踊って出る様なひずみ感は無い筈です。
その効果は、実際にレコードを再生してみて実感できます。

■トーンアームチューブの基部は、写真の様にモノフィラメントで吊り下がっている構造。

■安定した再生音には、ちょっと驚くぐらいです。
左手前のスイッチが電源スイッチです。

■かなりトレース能力が有ると言う感じです。
オイルダンプ特有の音色はあまり感じられません。
シリコンオイルの量で、音質の調整もある程度可能でしょう。

■シンプルな構造だからこその、安定した動きを感じる事が出来ます。

■トーンアームチューブの基部を、真上から撮ってみました。

■プレイヤー本体の脚部も、ボールを使用してアイソレーションしています。

■試聴に使用したカートリッジは、オルトフォンのMC20Wです。
アナログプレイヤー システム/Versalex は、
アーム付きシステムで、予価50万円程度です。
オルトフォンMC20Wとセットで、50万円台でかなりクオリティーの高い音が手に入る、
と言う事になりますが、これは良いチョイスと言えるのではないでしょうか。

■この写真を見ると、アームチューブを吊り下げているモノフィラメントが
クロスしている事が判ると思います。
クロスしたモノフィラメントが解けようとする力(元に戻ろうとする力)を、
インサイドフォースとして利用しています。
実にユニークで巧みな構造を持つプレイヤーです。

■レコード面に対するカートリッジの角度は、
アームを吊り下げているリングを回す事によって調整できます。
判りやすい様に、極端にカートリッジの角度を狂わせてみました。

■レコードを演奏している状態でも、カートリッジの角度調整が可能です。

■カートリッジリード線は、
このままプレイヤー背面のRCA端子まで接続点無しで直接接続されています。
■『WELL TEMPERD LAB』 のプレイヤーは、
昔から有る製品で、歴史の有るメーカーなのですが、
今までは樹脂のベース、または金属製のベースが多かったと記憶しています。
今回の『Versalex 』を聴いてみて、
バルチック プライウッド・ベースの音の良さをすごく感じました。
これは個人的な好みなのかもしれませんが、とても良い音がしています。
そして価格がまた良い。
50万円と言う出費で、
巷の製品とちょっと違うプレイヤーが手に入る、と言うのはうれしい事です。
もちろん音が良くなくては意味の無い事ですが、その点も合格です。
アームの高さ調整、ラテラルバランス、インサイドフォースキャンセルの巧みな機構、
アナログプレイヤーに必要な調整は自分流に調整も可能です。
構造的にも、使って行くうちにガタガタになると言う部分も無い。
非常に好感のもてる、アナログ プレイヤーです。