acoustical systems・SMARTractor を使ってみました。
2014年 05月 24日
店頭のアナログプレイヤーでテストしてみました。

■まずSMEのオーバーハングゲージを使ってアームの調整をしてみました。

■その後で acoustical systems・SMARTractor を使用して再調整。
やはり微妙にずれています。
このSMARTractorの優れたところは、映り込みを利用して正確に調整できるというのは勿論、針はこの位置にセットして下さい、という所に極々小さな穴が開いていて、その上に針が来るとスポッとはまる感じで針が吸い込まれます。
オイオイ、それじゃあ針が飛んでしまうのではないか、と言う心配をされる方もいらっしゃるでしょう。
しかし、心配はご無用です。
その針孔は円錐形になっていて、少し位置が狂っただけですぐに針が抜け出てきます。
また、反射板の部分はガラスの様に見えますが、実はアクリル板、ですから針先を痛める事は無いでしょう。
と言う事で、再調整は終了しました。
その後に、もう一度SMEのゲージを当ててみましたが、ぴったりと合っています。
やはりSMEのゲージでは微妙な追い込みは難しい、と言う感じです。

■たまたまお客様の依頼で預かっているテクニクス・SP10とSAEC・WE308のセットが有ったので、このシステムにもSMARTractorを使用してみました。
これは良いタイミングです。SMARTractorでSAECのアームを調べたらどんな結果が出るのでしょうか。
SAECのアームは、SMEなどの他社アームとは少し考え方が違っていて、外周はトラッキングエラーが大きく、内週へ行けば行くほどトラッキングエラーが無くなっていくというセッティングをします。
ちなみに、SMEは外周付近と内周付近でトラッキングエラーが最小になるというセッティングをします。
SAECのWE308はオーバーハングが5mm、SMEなどはオーバーハングがおよそ15mmぐらいになっていますが、その数値を見ても考え方の違いが分ります。

■SMARTractorを使用してみましたが、SAECの場合、指定通りの取り付け方をすると大幅に狂っていると言う事が分ります。
このSMARTractorを使って調べてみると、10mmほどオーバーハングが違います。
10mmほどアームを前に出す、つまりオーバーハング15mm位にしなければならない。
これはどっちが正しいのでしょうか。
僕が思うに、針を落とした瞬間の音というのに、人間は敏感に反応します。
そして、レコード盤の中程はトラッキングエラーが少々有ってもあまり気にならない。
しかし内周を針がトレースする場合、ちょっとしたトラッキングエラーでもその音の歪みが気になってきます。
ましてや、針の摩耗が進んだ場合、余計に歪み感が気になります。
だからSMEなどの考え方が正しいのか。
いやいや、外周はトラッキングエラーが有っても気にならない、内周が一番大事です。
このSAECの考え方も正しいと言えば正しい。
むつかしい判断ですが、やはりSMEの様な考えが大半なので、そちらが無難ではないか、そんな気がします。
SMARTractorは、少なくともSAECの考え方からはちょっと外れています。
と言う様な感じで、acoustical systemsのSMARTractorは大変面白いゲージです。
アームを取り付ける時の穴開けのゲージとして、これほど頼りになるものは無いでしょう。
早速1台注文してしまいました。