ちょっと前に入荷したエレクトロボイスのザ・パトリシアンですが
ようやくサウンドピットのお店に馴染んだ音が出るようになってきました。
■エレクトロボイス ザ・パトリシアン。
威風堂々という表現がぴったりの佇まいを見せるザ・パトリシアンです。
このスピーカーはパトリシアン800より昔、パトリシアンⅣよりも前のスピーカーシステムという事になりますが資料によると1950年ごろから生産された初期型パトリシアンという事になります。
このスピーカーは、クリプッシュホーン型キャビネットに46cmウーファー +木製ショートホーンにコーン型30cmミッドバス + ホーン型中音ドライバー +ホーン型ツイーター、という4WAY構成になっています。
キャビネットは、中のキャビネットだけでALTEC/A7の様なスピーカーシステムになるという物をもう一度化粧箱で覆った、と言う様な形になっています。
つまり奇麗なキャビネットを外すと、またその中に黒塗りのクリプッシュホーン型キャビネットが入っているという構造になっているんです。
出てくる音はそれこそオールドアメリカンの音と思われるかもしれませんがただ古い製品というだけではありません。
1970~1980年代の比較的新しい音源を聴いても古さを感じさせないのです。
今から60年以上前にアメリカの人はこの音を聴いていたのかと思うとただただ驚くしかないのです。
冷静に聴けばそれほどワイドレンジでもないのにそんな事を感じさせない余裕のある音はなんなんでしょう。
金管楽器の響き、バスドラの重くて軽やかな音、ビブラフォンの余韻、何を聴いても深々とした音を再現してくれます。人間の歌声ももちろん、なんの引っ掛かりもなくスーッと出てきます。
なんでこんなに心地よい音がするんだろう。
この音は情報として伝えられる音ではない、実際にこの場でこのスピーカーを聴いてみた人じゃないとわからない音です。筆舌に尽くしがたい、とはこの事を言うのだろうと思えるぐらい伸び伸びとした再生音なのです。
●リー・ワイリーのナイト・イン・マンハッタン(MONO)。 リー・ワイリーの声がとてもリアルです。ゾクッと来るような声。
●クリュイタンスのフォーレ・レクイエム(MONO)。 静かで落ち着いた音、重厚な響き、 心穏やかになるなんとも言えない表現力です。
●チョン・キョン-ファ チャイコフスキー&シベリウス バイオリン・コンチェルト(STEREO)。 雄大でしなやか、知らない間に最後まで聴いてしまいます。
●鈴木 章治 鈴懸の径(STEREO)。 抜けの良いとても気持ちの良い音がします。 哀愁のあるクラリネットの音がとても良いです。
どのレコードを聴いても大型スピーカーでなければ絶対に出せない表現力なんですね。
■向かって右に設置したエレクトロボイス/ザ・パトリシアン。
■向かって左に設置したザ・パトリシアン。
■PATRICIAN 103B SYSTEM。 シリアルナンバーまで記されています。
■ガラード301システムです。
右のアームがSME3012、奥のアームがオルトフォンのRMG309。
上の写真をよく見て頂くと分かりますが右側のアームをRMA309からSME3012に付け替えました。
奈良のお客様からの依頼なのですがガラード301そのものも全面的に点検して、ただ今ランニング中です。
エレクトロボイスのザ・パトリシアンをこのプレイヤーで鳴らしていますが心のつかえが取れる音というのか、心穏やかな気分になれる音というのか、久々にその音の世界に浸れるという気持ちになっています。