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日頃の体験のメモです。


by sound-pit
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YL音響・オーケストラを聴いて思う事。

久々のブログ更新です。

あるお客様からご指摘が有りましたので
気を引き締めてブログ更新をしていこう
と思っております。

言い訳けになってしまうのですが
コロナ自粛から修理品とかメンテナンス・調整とか
そういう製品が山ほど入ってきて対応に追われており
ついついブログの更新がおろそかになっておりました。

それもようやくひと段落したところでありますので
またぼちぼちとブログを書いて行こうと思っております。

こういう事態になって色々と大変かとは思いますが
今一度立ち止まって自分の趣味と向き合って
生活に潤いを戻すと言うのも良い事ではないか
と思っております。

それでは、ここ1,2か月のお店の動きを
書いて行こうと思います。





YL音響・オーケストラを聴いて思う事。_b0262449_19262094.jpg
■YL音響・オーケストラ。

すべてのメンテナンスが終了し
最終調整も終えてすでに納品は完了しておりますが
このスピーカーを通じて
色々な事を勉強させていただきました。

私でさえこのシステムを聴くのは初めての事。
ネットで検索しても
このタイプのオーケストラは見つからなかった。

中高音ホーンとツイーター部が上に有るのは見たが
真ん中付近に有るのは初めてです。

本当に珍しいスピーカーなんですね。


■結局のところ、ネットワークの修理から、
キャビネットの修理から、ドライバーのメンテから、
ほぼフルコースでメンテしたのですが、
ここまで徹底して修理した理由は、
お買い上げのお客さんの指示が有った事はもちろん、
どういう音が出てくるのだろう、
YL音響さんはどういう音を目指していたのだろう、
と思ったからなのです。


そして最終的に出てきた音はと言うと、
口では言い表せない、
この時代のものじゃないと出せない音だったのです。

このスピーカーは色々資料を集めてみたところ
昭和40年前後の製品です。

この時代にすでにこんな音が出ていたのかと思うと
感慨深いものが有ります。

すごい事だと僕は思います。





YL音響・オーケストラを聴いて思う事。_b0262449_09550898.jpg
■サミー・レミントン・クインテットのCD。

これは1980~81年代の録音ですが
木管楽器の質感、バンジョーの音、バスドラの音、
なにをとっても実に良い雰囲気で聴かせてくれます。

バンジョーの音はすごく素朴な音がして良い。
胴の音もしっかり出てきます。
クラリネットの木質感みたいな音のふくらみが良い。
バスドラの奥から押し出してくるような低音、
そして切れの良い低音、
ついつい聴き込んでしまいます。






YL音響・オーケストラを聴いて思う事。_b0262449_09551336.jpg
■ラフマニノフ ピアノ協奏曲 第2番。
反田 恭平(ピアノ)。
アンドレア・バッティストーニ(指揮)。
RAI国立交響楽団。


このCDは僕のお気に入りなのですが、
ピアノの沈み込む様な低音の響き、
深々としたオーケストラの響き・・・・、
YLのオーケストラは
絶妙なバランスで聴かせてくれます。


なんと言ったら良いのでしょうか、
このYL音響・オーケストラを聴いて思う事は
アナログの時代に育った人間にしか創れない音
なのではないかと感じるのです。

穏やかな音、たおやかな音、
それでもって凛とした音、
折り目正しい音の姿、
なんとも言えない場の雰囲気感、
そういうものを感じます。



■やっぱり時代時代の音が有るというか
アナログ楽器の音を聴いてきた年代の
人たちが作った製品は音の出方が違います。

その逆で、打ち込みとか、サンプリング音源、
などと言われる音源を聴いてきている世代の人は、
やはり音を聴く基準が違うはず。

YL音響のオーケストラで最近の音楽を聴いたら
おそらく、ナローな音、古臭い音だなあ、
と思う事でしょう。

それ以前に、
最近の音楽に含まれている低音を
YL音響のオーケストラにに放り込んだら
スピーカーが悲鳴を上げるかもしれません。

でもアナログ楽器の音源を鳴らすと
YLのオーケストラはとても素晴らしいのです。



■最近よくある事は、
アナログプレイヤーの音を聴いて
『CDの様に良い音がしますね』
と言う意見が多いという事。

もちろんお若い方たちの感想なのですが
僕ぐらいの歳の人間がその言葉を聴くと
え! っと思ってしまいます。

僕たちの世代は
いかにアナログレコードの音に近づけるか
という事で色々試行錯誤してきたはず。

色々な専門誌でもCDプレイヤーの評価において、
『よりアナログに近くなった』
と表現していた時代もあったはず。


CDプレイヤーが世に出だしたのは1980年代。
という事はその頃に生まれた方たちは現在35歳前後。
1980年代半ばで10歳だった人は45歳前後。

となるとCD の音が基準になるのは当然の事。
僕の年代の人間とは判断基準が違うのです。


音って、何を基準に決めたら良いのでしょう。
すごく難しい問題ですね。

古い音源から新しい音源まで、
一台のスピーカーで全部鳴らし分けられたら良い
と言うのが理想なのかもしれないですが
そうはいかないのがオーディオです。









by sound-pit | 2020-07-18 17:01 | 思うこと・ソフトの事。